PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
人気ブログランキングへ

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

師匠の事

 
ワシはいわゆる 「陶芸家」 に弟子入りしたことはない、

今住んでいる笠間市の、昔からある大きな窯元修行に入った


理由の一つは、ワシャ古いやきものが好きで、現代の陶芸にあまり興味がなかったからじゃ

当然大好きな陶芸家もいなかった、もしいたら、そこに入門してたと思う

古いやきものを見るのは大好きだったが、土には触った事も無かった (笑)

ほんでも、やきものの修行はやりたかったし、丁度タイミング良く窯元で求人してた


最初に修行する場所を探してた時は 

「ワシャ何も出来ないから、窯元で雑用でもしながらロクロ覚えられたらいいなぁ ・・・
夜、土方のバイトして、飯場にでも寝泊り出来たらいいんだけど ・・・」

なんて思ってた。27歳の時 ・・・・

そしたら、笠間焼の古い窯元 「桧佐陶工房」 の親方が 

「給料は少ないけど出るし、住居は寮がある」 と言う

ワシャ天にも昇る気持ちだったよ (笑) 

「ありえねぇ!! (@@;)」 って思った (笑)

メチャ嬉しかった (^^)


昼は窯元の仕事 (薬掛けやら、陶芸体験の客の応対など)

夕方5時で仕事は終わるので、それからロクロの練習 ・・・

今思えば、 「超初心者」 のワシが観光客に手びねりの指導なんかしてたんだから笑ってしまう


ロクロも、最初ワシは 

「何年雑用やったらロクロに触っていいんだろう?一年かな?三年かな?」

なんて思って、ロクロに近づこうともしなかった、近づいちゃいけないもんだと本気で思ってた (笑)

そしたら先輩が 「飯野君は、ロクロはやりたくないのかな?」 って言う ・・・


「えぇ~~~~~~~!? 
触っていいんスかぁ~~~~!!!!????」 (笑)



またまた天にも昇る気持ちだったよ (笑)


それから毎晩練習した

ほんでも中々うまくいかなかった。 先輩が一応基本の挽き方を教えてはくれたが ・・・

その頃 「桧佐陶工房」 には、専門のロクロ職人はいなかったし

みんな、仲はいいんだけど、お互いやってる事に口出しはしないって雰囲気だった

ワシャ勝手に 

「古い窯元だから、年とったロクロ名人がいて、その技を盗んで」 

なんて思ってたから拍子抜けしてしまった。



そんな時に 「師匠」 に会った。

佐藤孝雄さんだ。


佐藤さんは、焼き物屋として独立していた頃もあったが

いわゆる、陶芸家ではなかった。


佐藤さんは、別の窯元に勤めていたが、時々ワシの窯元に 「職人」 として来ていた

数が多い注文や、大物の注文があるときだけ、窯元のおかみさんが頼んで来てもらっていたのだ。


佐藤さんは、とてもいい人だった。


後から聞いたが、若いときは、商売に失敗して荒れてしまったり、精神的におかしくなったり ・・・

病気のお母さんと二人で住んでいて、それもあって婚期を逃してしまったり ・・・ 

色々あったらしい ・・・


ほんでも、ワシにとっては、とにかくいい人だった。


夕方になると原付バイクに乗って現れる。

で ・・・・

どんどん作っていく (@@)

ワシがロクロの練習してる横で、あっというまに手板がいっぱいになる
 

不思議なもので、一人で練習してると全然出来なかったのに、佐藤さんが隣で作っているとうまくいく

今思い返しても、技術的に具体的な事は、ほとんど教えてもらった事がない ・・・

佐藤さんが挽くのを見て、「こうやるのかな?」 って感じで練習してた。


佐藤さんは、とにかく褒めてくれた

「飯野さんはロクロの天才だなぁ」 「いい形だ」 「綺麗なロクロだなぁ」 「もうなんでも作れるよ」

まだ始めたばかりでそんな訳はないのだが

佐藤さんは、ワシがどんな事をやっていても何を作っていても、とにかくとにかく褒めた

大好きなピーナッツを、ポリポリ食べながら褒めてくれた

ワシは嬉しくなって、チョーシに乗ってドンドン練習したよ


そして一番嬉しい言葉   

「土が伸び伸びと、よく伸びてるなぁ」


佐藤さんが教えてくれた、一番大事なこと ・・・


佐藤さんのロクロは、教科書的にはあんまり正しくない、どちらかと言うと荒っぽいロクロだった

でも、ホントに土がよく動いた、壺を挽くときなんかは 「ビューン」 と土が伸びる

ワシャ今でも、あんなに土を生き物のように操る人を見た事が無い


ワシが住んでいる窯業地にも、やきもの屋を目指すための教育施設がある

若い人たちがロクロや釉薬の勉強をしている。

そこで教えられているロクロは、もちろん教科書的なロクロだ。

「下から上まで、均一に」 「なるべく薄く挽ける様に」 「キチンと正確に」 ・・・

それは全く正しいことだ、セオリー通り

でも、本当にいいロクロを挽ける様になるためには、それだけじゃダメだ


ワシは、最初に佐藤さんに学んで本当に良かったと思う

「とにかく土は、伸び伸びと伸ばす」  

まずこれが一番。


もちろん均一に正確にする練習は死ぬほどやったけどね (笑) 

プロなんだからさ (笑)




ワシが修行に入って三年目くらいに、佐藤さんはあっけなく癌で死んだ。52歳


「また独立してやろうと思って、電気窯買ったんだ、初窯焚いてお店に卸してきたよ」

「中高年向けの、お見合いパーティーに行ってきたよ。中々うまくいかないなぁ~」


そんな事を、大好きな栗を剥きながら、嬉しそうに話してた矢先 ・・・



師匠はホントに素敵な人だったよ。
 
人気ブログランキングへ

| ★ 陶 談   | 10:57 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。